■練法師が人前で練法を使うことについて


・術を使う時の周囲の環境
  「聖職者と聖刻のかかわりについて」で述べたとおり、パーティ内で術を
 使うことは問題ないものとする。では、どのような場面で術を使うと問題が
 発生するのか?古代遺跡や洞窟での探索中に出くわしたモンスターに使うの
 はまず問題ないだろう。場数を踏んだ悪党なら練法の存在を知っているかも
 しれないが、彼らが練法師を目にしたからといって、町の警備兵に通報した
 りするだろうか?そして、その言葉を役人が信じるか?だが、深く考える必
 要はないだろう。所詮、野盗の言うことだ。
 
  では、これが街中だったらどうだろう。俗に言う一般市民はその生涯を通
 して町を出ない者が大半を占める。当然、秘密主義の練法師の存在など知る
 はずもない。操兵に乗っている軍人でさえ、聖刻の力で動いているというこ
 とを理解している者は少ないと聞く。そんな者たちが練法師の結印を見たと
 してもたんに「怪しいやつ」くらいにしか思わないのではないだろうか。破
 壊的な術ならば普通ではないことが起こっていると認識はできても、それが
 練法師の仕業であると結びつけることは難しいはずだ。なにより、マントで
 結印を隠し術の発動に声の大きさが関わらないのであれば、実体のない精神
 に作用する術を使ったとしても誰も気づかないだろう。つまり、練法師を脅
 威と思うには練法師を知っているということが大前提である。昔話にでてく
 る魔法使いくらいの知識はあるだろうが、それが目の前で行われているなど
 と、誰が考えるだろうか。
 
  どんな人物が練法師を知っているのだろうか?聖職者はもちろんのこと、
 軍上層部や役人、王族や国政を預かる立場にある人物なら知っているだろう。
 表には出さないが、むしろ練法師を使い他国の情報を集めていると考えるべ
 きである。その性質ゆえにとらえどころがなく歓迎はされないだろうが、道具
 として使うのであれば練法師ほど優秀な間者はいない。こういった者達の見て
 いる前であからさまに術を使えば、彼らは練法師の危険性を十分理解している
 ため、真っ先に攻撃の的にされるだろう。